ヨーロッパ好きに教えたいアジア、アジア好きに教えたいヨーロッパ
2015年06月30日
旅行の行き先にはそれぞれ好みがあるもの。ヨーロッパが大好きだけど、お金も時間もない……という方、アジアが大好きだけれど、たまには遠出したい! でもヨーロッパって景色が変わらないイメージ…という方もいるでしょう。そんな「ヨーロッパ好き」が楽しめるポイントがアジアに、「アジア好き」が楽しめるポイントがヨーロッパにあるのです!
今回のテーマは、「ヨーロッパ好きに教えたいアジア」。
ヨーロッパの見どころと言えばやはり豪華な建物やおいしい食べ物……と、挙げたらきりがないですよね。でも、時間もお金も足りない……。そんなあなたに朗報です! ヨーロッパに行かずとも、ヨーロッパを味わえる場所がアジアにあるのです。低予算でしかも近い! そんなヨーロッパ好き必見のスポットをご紹介します。
ヨーロッパのリゾートが好きなあなたに! 中国で見つけた「ポルトガル」
ここは南ヨーロッパの港町にある、とある広場。アコーディオンを持ったおじさんが路上演奏している風景が浮かびます。と、思ったら……? 左側の黄色い建物にかかっている旗をよく見ると、なんと書かれているのは漢字! 実はここ、中国のマカオにある「セナド広場」の風景なのです。
マカオは、歴史的地区が世界遺産に登録されている中国の都市。カジノが盛んなリゾート地として有名です。ポルトガル領になったのは19世紀末のこと。イギリス領香港からのアヘン密輸を防止する見返りとして、マカオの地がポルトガル領として認められました。
鮮やかな青色が特徴的なポルトガルのタイル装飾「アズレージョ」。なんと、これもセナド広場にある「マカオ民政総署」の中庭で見ることができるのです(画像はポルトガルのものです)。
所々建物に貼られているアズレージョには広場名が書いてあり、それは全てポルトガル語。早朝などあまり人がいない時間帯に散歩をすれば、そこはまさにポルトガルの街!
イギリスが好きな人に! インドで見つけた「ヴィクトリア」の権威
中世ヨーロッパのお城を思わせる、左右対称の建物。豪華かつ繊細なデザインは、ロンドンのビックベンを思い起こさせるようです。しかし、よくよく見てみると、前庭の奥に南国風の木が!?
ここはインドのムンバイ、19世紀にイギリスの植民地政策の拠点となっていた港町です。
この建物は、世界遺産である「チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅」。旧名はヴィクトリア・ターミナスと言い、イギリス女王の名前をもじっています。ヴィクトリア・ゴシック調の外観はまるで宮殿。駅とは思えないその姿から、統治時代のイギリスがいかに強い権力を持っていたのかが伝わってきますね。
他にも、世界で最も美しい大学10選に入った「ムンバイ大学」や2階建てバスなど、イギリスを彷彿とさせる景色がたくさん! ヨーロッパらしい重厚な建物が大好き、という人にはうってつけのスポットです。
教会めぐりが好きなあなたに! フィリピンで見つけた「カトリック教会」
この荘厳な雰囲気。歩く音が「カツ…カツ…」と、高い天井いっぱいに響くここはそう、カトリックの教会。しかし周りを見回してみると、色鮮やかな紫の布がかけられて少しエキゾチックな雰囲気。実はここ、フィリピンのマニラにある世界遺産、「サン・オウガスチン教会」なのです。
フィリピンは、16世紀のマゼラン来航をきっかけに、スペイン船団によって開発が進められました、「フィリピン」という地名もこの頃のフェリペ皇太子からとったもので、現地の部族との対立がありながらも、スペインとは深いつながりがあったのです。
そのころからスペイン様式の教会や住居がたてられるようになり、フィリピン人の生活に根付いてきました。
ヨーロッパの教会を回るのが大好き! という人にぴったりの地、フィリピン。木造家屋や南国の植物など、エキゾチックな風景の中に現れる荘厳な教会は、ヨーロッパの教会よりいっそう存在感を増して美しく見えるのです。
私たちはどうしても「ヨーロッパ」「アジア」という地域を分けて考えてしまいますが、それぞれの歴史を紐解いてみると、思いもよらなかったところに意外な文化が根付いていることがあります。地域にとらわれず、お互いの文化がどのように伝わり、影響したのかを辿る旅をするのもおもしろそうですよね。
その第一歩として、ぜひ、「アジアのヨーロッパ」を訪れてみてはいかがでしょうか?
次回のテーマは、「アジア好きに教えたいヨーロッパ」。
今回は統治する側としてご紹介したヨーロッパ。シルクロードを通ってやってきた文化が、そんなヨーロッパにどのように受け入れられたのかをご紹介します。遠い国の珍しい文化に向けられた憧れの目、その文化を再現しようとした職人の努力の賜物が、みなさんよくご存知の「アレ」だったのです。 ……次回へ続く
(text:石川晴菜/KWC)